O-CAMP2027「新エントランスゾーン学生コンペ」実行委員会による総評・講評

2026/09/14
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本コンペは、創立100周年記念事業である「O-CAMP2027(Omiya Campus Master Plan 2027)」の一環で整備を計画している新エントランスゾーン「O-PARK(仮称)」について、学生からアイデアを募集したものです。
2026年8月5日に行われた表彰式では、応募総数50点の中から選ばれた最優秀賞1作品、優秀賞2作品、特別賞6作品およびその受賞者に対し、鈴見健夫理事長より賞状と副賞が授与されました。

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実行委員長 総評

 
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O-CAMP2027実行委員長/大宮キャンパス長/システム理工学部長

学生デザインコンペ 審査総評

 まずはじめに、学部・学科・課程・研究科の垣根を越えて、意欲的に挑戦してくださった多くの学生の皆さんに心より感謝申し上げます。
 提出時期が7月の定期試験直前という大変厳しいスケジュールであったにもかかわらず、最後まで強い熱量を持って作品を完成させてくださったことに深く敬意を表します。
 個人での応募はもちろん、チームで議論を重ねて生み出された提案など、多様なアプローチで取り組んでいただけたことは、主催者として大きな喜びです。開校60周年を迎えた大宮キャンパスの「次の姿」を全学で考える良い契機となり、創立100周年記念事業を機に目指すべき将来のキャンパス像が、魅力的なアイデアとして可視化されたことは、大学にとっても大変意義深い成果となりました。
 本コンペは、創立100周年記念事業「O-CAMP2027」の一環として、新たなキャンパスの顔となる「O-PARK(仮称)」のランドスケープや施設デザインのアイデアを募集したものです。募集要項で求めた4つの視点(「100周年からの将来構想」「新たなキャンパスの顔」「地域に開かれた大学」「建築とランドスケープの景観形成」)を軸に、「要求事項を考慮しているか」「新たなキャンパス構想をわかりやすく、魅力的かつ具体的に提案できているか」という観点から厳正な審査を行いました。

入賞作品の講評について

 全体提案部門において最優秀賞・優秀賞に輝いた作品は、本学が目指す地域社会への貢献やキャンパスの未来像を具体的に描き出し、ビジュアル・図面表現ともに極めて完成度が高く魅力的な提案でした。また特別賞の各作品も、独自の着眼点を明確に打ち出し、審査員を引き込む説得力あるプレゼンテーションを展開してくれました。
 ※各作品の詳細な講評につきましては、本ページ内の「芝浦工業大学/O-CAMP2027実行委員会 入賞作品講評」をご参照ください。
 なお、授業の一環として本コンペの取り組みを題材にしてくださった、システム理工学部環境システム学科(建築・環境課程)の作山教授に厚く御礼申し上げます。 

実行委員長からのメッセージ(今後の学びに向けて)

 今回のコンペでは、敷地全体を対象とした「全体提案」だけでなく、特定のエリアや施設に特化した「部分提案」も選べる柔軟な募集区分を設定しました。その結果、非常に多くの学生が多様な枠組みで挑戦してくれました。入賞作品にとどまらず、どの提案も大学キャンパスのあり方を多角的な視点から捉えており、今後のキャンパス再整備を推進する上で大変貴重な示唆を得ることができました。
 一方で、今後の皆さんの学びに向けた重要な課題として「生成AIとの向き合い方・使いこなし方」についても触れておきたいと思います。今回の応募作品の中には、生成AIツールを活用したビジュアルや提案が数多く見受けられました。しかし中には、対話プロセスの不足や作者自身の意図伝達の曖昧さ、あるいは入力した前提条件の誤りによるものか、「コンペ要項の基本ルールの不遵守」や「敷地現況・スケール感の不正確さ」が散見される作品も数多くありました。設計の前提条件を満たしていない提案については、残念ながら審査において評価の対象外となっています。企画構想者・設計者・デザイナーである皆さんは、提示する空間やデータに対する「説明責任」を負っています。決してAIに任せきりにするのではなく、「AIを良きパートナーとして適正に従え、使いこなす」という確固たる主体性を持ち、正確な情報と自身の設計思想を確実に反映させる姿勢を大切にしてください。生成AIは、設計や思考を拡張する極めて強力なツールですが、人間の「説明責任」や「意志」が欠けると結果はゼロとなってしまう可能性があることを強く認識してほしいと思います。
 最後に、今回皆さんから寄せられた創造性あふれるアイデアは、大宮キャンパスの次の100年を明るく照らす大きな原動力となりました。本コンペに情熱を注いでくださったすべての参加者に心より感謝を申し上げ、審査講評の結びといたします。

芝浦工業大学 / O-CAMP2027実行委員会 入賞作品講評

最優秀賞(1点)

受賞

【最優秀賞】

作品タイトル

O-Spiral ― 継承する遺伝子、進化し続ける大宮キャンパス

提案対象

全体提案

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:坂東凜音、白潟克敏、鈴木大翔、谷千里、吉野暁雄、小林弘奈、古澤陽希、阪野真由、イマサ カイノア、塚田昇吾、根木祐輔
数理科学科:岡部咲
生命科学科:宮尾朋来
機械制御システム学科:田口大地

講評

 本提案は、大学と地域をつなぎ、過去から未来へと継承・進化し続ける「二重らせん」をデザインモチーフとした全体提案である。学内および東大宮地域の多様な活動や市民の声をシステム工学の手法を用いて綿密に抽出し、空間計画へと見事に反映させている。
 新正門では、旧校舎のシンボルであるランタンの温かい光を学内外の双方向から立体的に享受できるよう、門壁(柱)の形状に細やかな工夫を凝らした。守衛棟・展示ギャラリー・カフェ・バス停を一体化した「伝承棟」は、ラティス状の透明感あふれる造形的なスクリーンで包まれ、内部の賑わいを外部へと魅力的に表出させている。建物全体が一つのランタンのように発光する演出も美しく、夜間の安心感を創出している。さらに、地上に描かれたらせん状のペイブメントが、新正門からの直線的なアプローチに対し、芝生広場(ガーデン)やバス停空間をも一体化する広がり感を与えている。近隣の人々も訪れやすい開放感が、人々の交差と心地よい滞留を生み出している。
 審査においては、「DNA」「Spiral」という明快な設計理念を軸に、地域とキャンパスを有機的につなぐエントランスゲートや、調整池の特性を巧みに活かした段床テラスの空間計画が高く評価された。とりわけ、ゲートとしての導入性の高さ、先進性の中にもクラシカルな佇まいを残した安定感、そして学生と地域住民の交流を促す広場構成は卓越しており、最優秀賞にふさわしい完成度である。
 一方で、全体的な意匠表現が手堅くやや一般的である点や、素材・構造表現における更なる独自性の追求が課題として挙げられた。また、らせんモチーフがキャンパスゲート周辺で途切れており、「O-Spiral」のコンセプトの展開がやや不徹底であるとの指摘もあった。らせんが織りなすダイナミックな空間体験をより際立たせ、細部のディテールや革新的な先進性をさらに深化させることが期待される。
 総合的に、歴史の継承と未来への進化を両立させた、極めて説得力のある卓越した作品である。


優秀賞(2点)

受賞

【優秀賞】

作品タイトル

O-Cube ― 風景を切り取るフレームと多様な活動の舞台

提案対象

全体提案

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:西郷姫奈、中山雅也、稲上結実子、阿部公紀、半澤龍太郎、村井悠斗

講評

 本提案は、大宮キャンパスに息づく豊かな自然、学生の研究活動、地域交流といった多様な資源を、多面的な立体空間「Cube」によって人々のアクティビティを顕在化させ、相互に活性化させることを仕掛けたダイナミックな全体計画が特徴である。プロムナードからモール、そしてキャンパス奥へと「Cube」を連続的に配置して人々を誘う。「Cube」は、学生の活動を魅せる舞台として主体的・創発的なアクティビティを誘発し、夜間に明かりを灯すメインゲートや展示を行う「O-Gallery」など、多彩な居場所を創出している。

 審査においては、Cubeをモチーフとした段階的な空間のつながりや、花・植栽を通じた地域住民との有機的な交流計画、内部空間の高い意匠性が評価された。特に新正門と沿道間の花壇計画は手入れもしやすく実現可能な提案である。空間ゲートとしてのまとまりと完成度は高く、キャンパスの日常的な賑わいを効果的に可視化した作品である。

 一方で、「Cube=立方体」という主題に対して実際の提案形態がやや平面的であり、立体的な迫力や空間性に乏しいのではないかとの指摘があった。また、守衛所の屋根形状についてもデザイン意図の必然性がやや不明瞭である。「Cube」の持つ立体性や象徴性を外観意匠としてより力強く表現することや、手堅い構成を超えて既存の枠を打破するような新奇性・独自性の提示が課題である。「Cube」のディテールや機能連携を深め、より際立った空間体験へと昇華させることが期待される。

 総合的に、キャンパスの資源をうまく生かし学生活動と地域交流を双方向的に活性化する、景観豊かな潤いのある魅力的な作品である。


受賞

【優秀賞】

作品タイトル

Campus Gate & C Zone

提案対象

Cゾーン・ゲート

入賞者

デザイン工学部 デザイン工学科:次田有里、小林真緒

講評

 本提案は、大宮キャンパスの緑豊かな自然環境に寄り添い、足を踏み入れた瞬間の期待感と心地よさを生み出すCゾーンおよびゲートの景観設計である。工業大学らしい堅実でシャープな金属構造の横長フレームゲートが奥へと続く風景を美しく切り取り、中央には植物の生命力と先端技術を融合させた生きる「SITシンボル」を象徴的に配置している。貯水池は雨水調整機能を保持しつつ、すり鉢状の傾斜を活かした木製階段ベンチを備えた枯山水庭園とコミュニティ庭園へ再生した。
 審査においては、風景を巧みに切り取る「間」の設計や、本学ならではの緑のデザイン、調整池を日本庭園に見立てるランドスケープの妙と素材へのこだわりが評価された。自然と技術の調和を美しく体現した提案であり、水辺の心地よい開放感と対話の場を創出した意欲作である。
 一方で、エントランスゾーン全体としての動線計画や、周辺施設・既存機能との親和性が検討課題として指摘された。また雨水貯水池の繊細な計画が頻繁に起こる雨水貯留時の変化に耐えられるかが懸念された。アプローチ動線との調和を図り、実空間における納まりの精度を高める必要がある。
 総合的に、工業大学らしいクラフトシップに溢れた造形とディテール表現に長けた、本学の未来を予兆的に示した魅力的な作品である。
 

特別賞(6点)

受賞

【特別賞】

作品タイトル

SPACE これからの大学の在り方

提案対象

全体提案

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:阿部倉周斗、髙橋毅、砂田佳子、日名泰聖、宮本裕道、坂上明日香、山中泰士

講評

 本提案は、学生の主体的な活動と市民の日常的な活動を双方向に活性化・融合させ、ウェルビーイングの向上を目指した全体計画である。リニアな動線軸「SPINE」に対し、可変ユニット「SPACE」を敷地全体へ点在させ、新正門や守衛棟ギャラリー、そして調整池を活用した躍動的なオープンスペースを連鎖的に配置した空間構成力と、高いプレゼンテーションレベルが評価された。
 審査においては、地域のウェルビーイングに着目した意欲的な提案姿勢や、水平・垂直ラインを基調とした端正なゲートデザインが注目を集めた。
 一方で、守衛所の実用性や、2階ギャラリーの利用形態が限定的になってしまう点に懸念が示された。また掲げられた「ヘドニア的/ユーダイモニア的」という概念が、実際の建築形態や空間体験にどう反映されているかがやや不明瞭である点や、大学と地域をつなぐ「まちづくり」の視点における具体性の深化が挙げられた。
 学生と市民が共に成長できる共創プラットフォームとしての発展が期待される。


受賞

【特別賞】

作品タイトル

キャンパスを、まちの『公園』に。~緑が育む、地域と大学の新しい日常~

提案対象

A・B・Dゾーン

入賞者

工学部 都市・環境コース/土木工学科:細谷史音、水浪秀太、麦倉大樹、佐藤大海、石井康平、畑隆輝、川田朝風、永井達也、五味優、小原きせい、荒木悠汰、相場夢侍、萩原未夕、小河大将、佐々木航、松尾旺佳
大学院理工学研究科修士課程 社会基盤学専攻:久保隼人

講評

 本提案は、大学と地域の境界を溶かし、キャンパスを「まちの公園」として再編する計画である。沿道フェンスの植栽化、クスノキへ導くソヨゴの並木、木部カウンターやサイネージ、夜間見守り照明の導入など、実用性の高い日常利用シーンの提示に加え、優しい表現と適確なプレゼンテーションが評価された。地域のリビングとしての完成度は高く、日常の安心感をもたらす工夫に富んでいる。
 一方で、木製フェンス等の設えが見慣れた意匠に留まっている点や、木材の多用に伴う経年劣化への配慮、可動部の詳細設計などに懸念が示された。今後は、掲げた理念と具体的な空間デザインとの有機的な結びつきをより深め、独自性のある空間表現へと昇華させることが期待される。
 人々の日常に寄り添う親しみやすいランドスケープ提案である。


受賞

【特別賞】

作品タイトル

まちに流れを キャンパスがまちに対してあるべき姿を考える

提案対象

全体提案

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:原優介、星楓香、佐藤大佑、塚原結花、鳥居瑞生、中原怜介、阿部楓矢、冨岡拓海、村上葵

講評

 本提案は、見沼代用水等の綿密な地域調査に基づき、自然と調和し多様な居場所と動線を統合した全体整備計画である。人の流れを生み出し地域とキャンパスをつなぐ外構計画が特徴である。軸線上のメインストリートを中心に緑地と水路を一体化し、軽快な構造の新正門やバス停キャノピーを計画した広域的なまちづくり視点が評価された。人を水辺や緑へ引き込むアプローチ空間の着眼点は優れており、まち全体を見据えたスケール感が際立っている。
 一方で、調整池や水景に伴う水処理の技術的実現性や維持管理への対策、ゲートや周辺空間デザイン自体の平凡さを脱する独自性・洗練さの向上が検討事項として指摘された。
 地域環境のコンテクストを丁寧に汲み取った意欲的な提案である。


受賞

【特別賞】

作品タイトル

新たな芽吹き― ひらり、ひらくみんなの原っぱ ― 

提案対象

Cゾーン

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:目良つばさ、次田有里、細木柚芭

講評

 本提案は、手動開閉する可変式膜屋根と「ひらりゲート」により、交流と学びの種を育むCゾーンの提案である。網目状ネットの「ごろごろ原っぱ」やS字デッキの「青空原っぱ」など、親しみやすく広がりを感じさせる魅力的な空間コンセプトが評価された。学習や交流の場を屋外へひらく意欲的な試みであり、空間の楽しさが表現されている。
 一方で、屋根の可動・回転機構における工学的な成立性や日影シミュレーションの検証、日常における現実的な運用・維持管理性の確保と技術的裏付けが今後の課題として挙げられた。
 学生の活発な活動と地域との遭遇を促す、開放感あふれる空間提案である。


受賞

【特別賞】

作品タイトル

≠GATE

提案対象

Cゾーン

入賞者

建築学部 建築学科:高松隼也、前田颯太郎

講評

 本提案は、人々の「通過」行為と「滞在」行為が重なり合う新たな居場所としてCゾーンのゲートを再解釈した提案である。弧を描く大屋根とすり鉢状テラス・広場を一体化し、メタル素材のシャープさや強いアイキャッチ性を備えた先進的な提案姿勢が評価された。風景や活動そのものを大学の象徴とする門の着想は極めて独創的である。
 一方で、ゲートとしての必要機能に対して空間規模や構造が大げさになりすぎている点や、キャンパスの奥を遮るほど大規模な曲面を用いた大屋根と既存建物や外構との関係性の検証に懸念が示された。
 ゲートの概念を拡張し、空間体験を一新する野心的なアプローチとして注目を集めた。


受賞

【特別賞】

作品タイトル

WELCOME LOOP 人・緑・記憶をつなぐウェルカムストリート

提案対象

Bゾーン

入賞者

システム理工学部 環境システム学科:中村 健吾

講評

 本提案は、ウェルカムストリートに円形エレメントを展開し回遊性と滞留性を高めるBゾーンの提案である。「O-RING GARDEN」と名付けられたエリアには、歩道と芝生をつなぐタイルリンクや、リング状のベンチ・植栽マウンドを連続的に配置した。学生や地域住民、子ども連れなど多様な利用者が、緑に触れながら交流できる歩行者空間を提案している。豊かな木陰の広場を設け、ギャラリーやカフェ、自習スペースなど各LOOPの具体的機能設定と高い視認性、建築的ゲートとしてのまとまりが評価された。
 一方で、エントランスゾーン全体における動線誘導の工夫や、各LOOP間のよりスムーズな空間接続、周辺動線との調和の検証が検討事項とされた。バス停の上にまで伸びる階段状のデッキ空間は目的性が乏しく、ギャラリー空間との内外の仕切りが不明瞭なことが指摘された。
 学生と地域の日常を豊かにつなぐ、きめ細やかで丁寧な景観提案である。