建築に、革新を。
“不易流行”の建築で、
人間の幸せを追い求める。
建築・環境設計研究室
末松 拓海Suematsu Takumi
人間が幸せに生きられる住まいとは何か。
「変わらない本質」と「時代の変化」
を掛け合わせる
“不易流行”の思想を軸に、
世界を少しでも良くするための
建築を追求しています 。
変わらないこと。変わること。
その掛け合わせが進化につながる。
不易流行とは「いつまでも変わらないことー不易」と「時代の新しい流れー流行」どちらも取り入れることで真の芸術や進化につながるという考え方です。建築は人間の活動を支える土台です。私たち人間が動物である以上、人間らしく生きるために「不易」なこと。そして目まぐるしく変化する社会や激しい気候変動に適応してゆくための「流行」について考えることが必要不可欠であり、それらの掛け合わせによって、人が幸せに暮らすことのできる建築が生み出せると考えています。
建築の影響を深く見つめ、
イノベーションを起こす。
建築というものは人間よりもはるかに大きいものなので、よほど意識をしない限り背景化し、無意識の存在になってしまいます。つまりどこか少し変なところがあったとしても気がつかないのです。例えば地下鉄の曲がりくねった道を歩く時、人はなぜこの道が曲がっているか疑問に思うでしょうか。そのため建築をするには、それが及ぼす影響を深く考え、本質を捉えなければなりません。そんな考えに基づいて私が設計した二つの住宅を紹介します。
移住をINNOVATEする。
卒業設計で製作した「移住者の家」という住宅では、移住にまつわる問題(ex.人間関係の対立、風景破壊、移住者のライフステージ等)を、家づくりという行為によって解決しようと考えました。実際に佐木島に約3ヶ月滞在し、島民の方々や移住者と関わり調査をする中で、「急に現れた異邦人(移住者)が、急にデザインされ、急に作られた、異質な建築で暮らし始める」という一般的な移住の状況に違和感を抱きます。つまりこの計画では、移住を単に「新しい土地に住み始めること」としてではなく、地域の人々との関係を少しずつ築き、その土地の暮らしに馴染んでいく長い時間の問題として捉えました。そこで具体的な解決策として、「移住器」と名付けた「場所に応答した建築と什器の中間のような存在」を年ごとに制作していくことで、土地の風土や人々と有機的なつながりを築き、場を生み出していきます。出来上がる住宅もまた「移住器」を種子として育てるように仕上げることで「風土の一部であり象徴」でもあるような存在となることを目指しています。
一人暮らしをINNOVATEする。
次に「原子たちのための家」という一人世帯向けの集合住宅の提案です。日本の国民生活基礎調査によれば、2022年ついに一人世帯が最も多数を占める時代が到来しました。そしてその背景に生じる、孤独死の増加など現代的な問題は、建築の形式にも問題の一端があると言えます。閉じすぎず開きすぎず、適度なつながりが人間の文化的な生活には必要なはず。そこで従来のマンションやアパートのような連続する箱を構成する壁を解いてゆき、ずれ込みながら壁を配置することで空間を作っていきました。プライベートとつながりを両立する暮らしです。原子は住人のメタファーであり、一人の小さな原子が安定を求めてつながり、世界を構成していくような住まいを考えました。
建築がそばにあり、
より幸せに暮らせるように。
幸せに生きるとはどういうことでしょうか。先月南アジアを旅した際、スラムで楽しそうに窓から手を振る子どもたち、一つの原付に4人でぎゅうぎゅうに乗りながら笑い去っていく家族、決して裕福ではないけれど星空を眺めながら今私はhappyだと言葉を漏らすラクダ使いの老人など、さまざまな人に出会いました。彼らは我々に比べて持っていないものも多いけれど、持っているものも多いと感じました。柔軟にさまざまな世界や分野を見ながら、ほんの少しでも世界が良くなるような建築を作れたら、私は幸せなのだと思います。