MV

感情認識に、
革新を。

心拍や脳波から読み取る
感情のディティール。
支援の在り方も、きっと変わる。

基盤システム研究室

中川 友梨Nakagawa Yuri

言葉で表現することが難しい人の感情を、
生体信号から深く、客観的に理解する。
その研究は、一人ひとりに合った
新たな支援の可能性につながっていきます。

中川 友梨
生体信号で、どこまで人の感情を理解できるか。

生体信号で、どこまで
人の感情を理解できるか。

以前から情報技術を用いて社会を豊かにする研究に取り組みたいと考えていました。その中で、研究室で扱われていた「生体信号による人の感情評価」というテーマに関心を持ちました。現代社会では、ストレスやメンタルヘルスが大きな課題となっており、また高齢化が進む中で、人々の生活の質や心の安定をどのように支えるかが重要になっています。こうした背景から、ポジティブ感情はストレスへの対処や健康維持、日常生活の充実に関わる大切なものだとされています。生体信号を用いて一様ではないポジティブ感情を客観的に評価できれば一人ひとりに合った支援につながると考え、この研究に取り組むことを決めました。

ポジティブな感情も、一通りではないから。

ポジティブな感情も、
一通りではないから。

ポジティブな感情には、楽しい、わくわくするといった活動的な感情と、安心する、落ち着くといった穏やかな感情があります。どちらも「良い感情」ですが、意欲や行動を後押しする感情と、心身の安定につながる感情では役割が異なります。しかし、高齢者や認知機能が低下した方など、自分の気持ちを言葉で表すことが難しい場合、感情を正確に把握できないことがあります。私の研究では、映像などを用いて二種類のポジティブ感情を引き起こし、そのときの心拍や脳波を測定。その結果、心拍だけでは違いを捉えることは難しい一方で、脳波には感情の種類による違いが表れる可能性が示されました。また、介護施設でも計測を行い、実際の現場で活用できる可能性も検討しました。

感情が見えれば、思いに合わせた支援が可能になる。

感情が見えれば、
思いに合わせた支援が可能になる。

メンタルヘルス支援や高齢者ケアなどの現場では、「その人にとって本当に良い関わりができているのか」を判断しにくいことが課題にあります。音楽や会話、レクリエーションなど、気分を良い方向に導く取り組みは行われていますが、その効果は本人の感想や周囲の観察に頼ることが多いのが現状です。また、ポジティブな感情の違いを捉えられないと、例えば「活動的になってほしい場面」と「安心して過ごしてほしい場面」で、同じような支援になってしまう可能性があります。
本研究によって、こうした感情の違いを生体信号から捉えられるようになれば、これまで「なんとなく良さそう」と判断されていた支援を、「その人にどのような良い変化をもたらしているのか」という視点で評価できるようになります。将来的には、一人ひとりの状態や目的に合わせて、より適切なケアや支援を選ぶことにつながると考えています。

研究で得た知見を、現場で使える技術に。

研究で得た知見を、
現場で使える技術に。

今後も人の感情をより丁寧に理解し、その人に合った支援につなげられる技術の実現を目指していきたいと考えています。そのためにもまず研究者として、人の心という複雑な対象を簡単に決めつけるのではなく、データから分かることと分からないことを丁寧に見極めていきたいです。また技術者としては、研究で得られた知見を、実際の現場でも使える形に近づけていきたいと考えています。人を置き換える技術ではなく、人が人をよりよく理解するための技術をつくることに貢献したいです。

「感情認識に、革新を。」というテーマで、学士論文を書きました。
社会との接点での試行錯誤から、イノベーションは生まれる。

社会との接点での試行錯誤から、
イノベーションは生まれる。

大学で研究に取り組む中で大きく変わったのは、研究を「論文や実験の中だけで完結するもの」としてではなく、「社会の中でどう使われるか」まで考えるようになったことです。研究を進める中で、介護施設での計測や、社会実装を見据えた取り組みに関わる機会がありました。そこでは、研究室で理想的な条件のもとで得られる結果だけでなく、実際の現場で使いやすいか、対象となる方に負担がないか、支援する人にとって意味のある情報になるか、といった視点が重要になることを実感しました。イノベーションは、特別な人だけが突然生み出すものではなく、目の前の課題に向き合い、社会との接点の中で試行錯誤することから生まれるものだと感じています。

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